芝生を美しく保つには、定期的なエアレーション(通気作業)が不可欠です。
この記事では、芝生を健康に育てるためのエアレーションの目的や効果、最適な時期、方法、そしてエアレーション後のケアについて、初心者にもわかりやすく解説していきます。

エアーレーションをすることで、綺麗な芝生にすることが出来ます。
ぜひ参考にしてください。
エアレーションとは?
エアレーションとは、芝生の地面に小さな穴を定期的に開けることで、土壌の通気性・排水性・栄養供給能力を改善する作業です。
また、専用の道具(エアレーター、スパイキングフォーク、コアリングマシンなど)を使い、地表に無数の穴を空けることで、地中に空気や水、肥料がしっかりと届くようになります。
そして、この作業を怠ると、芝生は根詰まりを起こし、弱々しくなって病気や雑草の被害を受けやすくなってしまいます。
なぜエアレーションが必要?
踏み固められた土壌をほぐすため
芝生は人が歩いたり物を置いたりすることで、次第に地面が踏み固められ、根が呼吸しにくい環境になります。そのため、エアレーションで穴を開けることで、硬くなった土をほぐし、根の発育環境を改善できます。
水はけと通気性を改善するため
水や空気が土の中にしっかり入り込むことで、根腐れのリスクを減らし、健全な生育が可能になります。とくに、水が溜まりやすい場所には効果的です。
根の成長を促すため
通気性・排水性が向上することで、根が深くまで伸びやすくなり、芝生が暑さや乾燥、病害虫に強くなる体質へと変わります。
サッチ(枯れ草や茎の堆積物)の分解を促進するため
サッチ層が厚くなると、空気や水が根に届かなくなります。そのため、エアレーションによってサッチ層を切り裂き、微生物が活動しやすい状態にすることで、自然分解を促せます。
さらに、肥料の浸透効率も向上するため、エアレーション後に施肥を行うと効果が倍増します。
エアレーションの最適な時期と地域別の注意点
芝生を健康に保つためには、「根の成長が活発になる時期」に合わせてエアレーションを行うのが効果的です。そして、作業のタイミングを誤ると、かえって芝生を弱らせてしまうこともあるため、地域の気候に応じた配慮が必要です。
季節別|エアレーションに適した時期
春(3月〜5月)
理由
芝生が冬眠から目覚め、成長を再開する時期
- 気温が徐々に上がり、地温も10℃以上に安定してくると、根が活動を始めます。
- この時期にエアレーションを行うと、通気性の改善と根の成長促進に最も効果的。
- また、梅雨や夏の高温多湿に備えて、強い根を育てる準備ができます。
秋(9月〜11月)
理由
夏のダメージを回復させ、冬越しの準備を整える時期
- 夏の猛暑で弱った芝生を回復させ、根を再度元気にさせる絶好のタイミングです。
- 土壌環境を整えておくことで、冬の寒さや乾燥にも耐えやすい根作りができます。
- 翌年の春の立ち上がりをスムーズにする効果もあります。
地域別|エアレーション実施の目安と注意点
北海道・東北(寒冷地)
時期
雪解け後の4月〜5月中旬/9月中旬〜10月中旬
- 土の凍結が解けて、しっかり乾いてから行うことが重要。
- 秋は霜が降りる前(11月上旬まで)に完了させましょう。
- 寒冷地では作業時期が限られるため、春1回に集中させることも多いです。
関東・中部(温暖地)
時期
3月下旬〜5月中旬/10月前後
- 春は桜の開花時期からが目安。そして、気温が安定して10℃を超える頃が最適。
- 秋は10月〜11月初旬がおすすめ。また、寒暖差に注意し、霜が降りる前に行うと良いでしょう。
- 土が乾燥しすぎないよう、前日に軽く水やりすると効果が高まります。
関西・九州(暖地)
時期
3月中旬〜5月/9月下旬〜11月中旬
- 気温の立ち上がりが早いため、関東よりも早めにエアレーションを始められます。
- 冬の冷え込みが比較的緩やかなので、11月中旬まで作業が可能。
- ただし、夏場は高温すぎるためエアレーションは避けるのが基本です。
ワンポイントアドバイス
- 雨上がり直後や水分が多すぎる状態では作業しないよう注意しましょう。なぜなら、土が潰れて逆効果になる場合があるからです。
- 作業後は目土や肥料を併用すると、より効果的に芝生の再生が進みます。
エアレーションの方法|目的・規模に合わせた選択を
エアレーションには大きく分けて「コアリング」と「スパイキング」の2種類があります。そのため、芝生の規模や状態に応じて適切な方法を選びましょう。
1. コアリング(中〜大規模の芝生向け)
特徴
- 中空の筒状の刃を使って、土のコア(円柱状の土の塊)を抜き取る方法。
- 「プラグ式エアレーション」とも呼ばれます。
効果
- 通気性と排水性を大幅に改善できる。
- 土壌が硬くなっている場合や、サッチ層(枯れ草の堆積)が厚い芝生の改善にも非常に効果的。
- 抜き取った土のコアが地表に残るため、後処理として軽くならすか除去する作業が必要です。
使用する道具
- 手動式の「コアリング器具」・・・1〜2坪程度の庭に最適。
- 大面積には「電動エアレーター」や「ガソリン式コアエアレーター」が効率的。
2. スパイキング(小規模な芝生・軽いメンテナンス向け)
特徴
- スパイク(突起)がついた道具で土に穴を開けるだけの方法。土は抜き取らない。
- 「突き刺し式エアレーション」とも呼ばれます。
効果
- 手軽に通気性を改善できる。
- サッチ除去には不向きだが、軽度の土壌の締まりには十分対応可能。
- 水や肥料の浸透も促進されるため、日常的なメンテナンスとして有効。
使用する道具
- スパイク付きのサンダルや靴(履いて歩くだけの手軽さ)
- スパイキングローラーやフォーク型の器具(手動でも安価)
- 高性能な電動スパイカーも存在するが、一般家庭ではややオーバースペック
3. エアレーション器具の選び方|面積・頻度・予算で選ぶ
ワンポイント|作業後のケアも重要です
- エアレーション後は「目土(めつち)」や「施肥」を併用することで、さらに効果アップ。
- 芝の根に酸素・栄養・水分がしっかり届き、より早く元気な芝に育ちます。
エアレーションの具体的な手順|芝生を元気に育てるための作業フロー
芝生のエアレーションは、事前の準備から作業後のケアまでがセットです。そのため、以下のステップを順に行うことで、芝生の健康をしっかりサポートできます。
1. 芝生の状態を確認する
時期は「成長期」に限る(春または秋)
芝生が休眠中(冬)や夏の猛暑期には避けること。
芝の色や密度、サッチ層の厚みをチェック
地面が硬い・水はけが悪い・黄ばみが目立つ場合はエアレーションのタイミングです。
2. 芝生を軽く湿らせる(前日〜作業直前)
土が乾きすぎていると、穴が開きにくく道具の負担も増加してしまいます。そのため、作業の前日に軽く水やりをしておき、「湿っているけどドロドロではない」程度の状態にしておくのがベスト!
3. エアレーターを使って穴を開ける
均等に作業するポイント
- 一方向だけでなく、縦・横2回のクロス作業をすると、効果が均等に広がります。
- 穴の間隔は10~15cmを目安に。
- 芝が特に傷んでいる部分は、集中的に作業してもOK。
使用する道具に応じた注意点
- コアリング式・・・
抜き取った土のコアはそのまま乾燥させて細かく砕くか、回収して捨てる。 - スパイキング式・・・
突き刺すだけなので、表面に土は出てこない。
4. 作業後の目土(めつち)をかける
穴を開けた部分に細かい目土をすり込むことで、穴の中に酸素・水・肥料が届きやすくなります。そして、使う土は、目の細かい砂や芝生専用の目土がおすすめです。
また、目土がサッチ層の分解も助け、根の成長をさらに促進してくれます。
5. サッチやゴミの回収・掃除
地表に落ちた枯れ草や抜けた芝、土のかたまりなどをレーキで回収しておくと、病害虫やカビの発生予防にも◎。とくに、コアリング後は、乾いたコアが邪魔にならないよう軽くならして均すときれいに整います。
6. 必要に応じて「追肥」や「水やり」
エアレーション直後は、根に直接栄養が届く絶好のチャンス。そのため、有機肥料や芝生専用の緩効性肥料を軽くまくと効果的。
その後、しっかりと水やりをして土壌になじませることで、根の活性化を促します。
補足
- 作業後は2〜3週間、芝を踏みすぎないように注意(根が活発に伸びるため)
- 雨直後や乾燥しすぎた日には作業を避ける
- コアや目土が気になる場合は、軽く芝刈りをして整えると美しく仕上がります
エアレーション後のケア|芝生を美しく保つための仕上げ作業
エアレーションは芝生にとって「一時的なストレス」となります。しかし、その後の適切なケアが再生と成長を大きく後押しします。
そのため、以下のポイントを丁寧に実践することで、青く密な芝に育ちます。
1. 水やり|作業直後はたっぷりと
目的
穴を開けた直後の芝生は乾燥しやすく、根の先端が空気に触れてダメージを受けるおそれがあります。そのため、しっかりと水を与えることで、穴の中に水分が行き渡り、根の活性化と土壌定着を促進します。
ポイント
作業後すぐに、たっぷりと水やり(地中まで染みる程度)を行いましょう。そして、その後1週間程度は、天候を見ながら土壌が乾かないように管理。
- 乾燥しやすい晴天が続く日は朝・夕の2回。
- 雨の日は水やりを控える。
2. 施肥|エアレーション直後は栄養が浸透しやすい
目的
通気性が良くなった土壌は、肥料成分が根までしっかり届く理想的なタイミングです。そのため、成長期に合わせて施肥することで、芝生がぐんぐん成長し、空気穴の跡も早く目立たなくなります。
肥料の種類とタイミング
- 使用する肥料・・・芝生用の緩効性肥料(例:IB化成、芝ドクターなど)
- タイミング・・・作業後1〜2日以内に施肥するのがベスト
- 施肥後の水やり・・・肥料が土に浸透するように、再度たっぷりと水を与える
3. 芝刈り|芝が伸びたら刈り高に注意して整える
目的
芝刈りを行うことで、芝の密度を高め、光合成効率を維持できます。ただし、エアレーション直後は芝が弱っている状態なので、刈りすぎに注意が必要です。
ポイント
- 芝が5〜7cm以上に伸びたら刈り込み開始
- 刈り高は通常より少し高め(3〜4cm程度)に設定するのがおすすめ
- 一度に刈る量は全体の1/3までが理想(急激に短くすると芝が弱る)
- 刈りくずはレーキなどで回収し、サッチの蓄積を防ぐ
補足|エアレーション後1〜2週間の管理
エアレーションの効果まとめ|芝生の健全な生育を支える4つの要素
エアレーションは単なる「穴あけ作業」ではなく、土壌環境全体を改善する根本的なメンテナンス手法です。そのため、以下のような多面的な効果によって、芝生を健康で美しく保つことができます。
1. 酸素供給|根の呼吸を助け、健全な成長を促進
芝生の根も人間と同じように、酸素を取り込んで呼吸しながら成長しています。しかし、土壌が踏み固められていると、酸素が届かず根の活動が低下し、成長が鈍くなります。
そのため、エアレーションによって根の周囲に空気の通り道を確保することで、根が深く張りやすくなり、芝生全体が強く丈夫になります。
2. 水はけ改善|余分な水を排出し、根腐れや苔の発生を防止
水はけの悪い芝生では、表面に水たまりができたり、根が酸欠状態になったりする危険性があります。また、湿った環境は苔やカビ、雑菌が繁殖しやすく、芝生に悪影響を与える要因となります。
しかし、エアレーションで排水性が高まり、地中に余分な水がしみ込むようになることで、病害リスクが大幅に軽減されます。
3. サッチ対策|通気性の回復と微生物活動の促進
サッチとは、芝の刈りカスや枯れた茎・葉が積み重なってできる堆積物の層です。また、この層が1cm以上あると、水や空気、肥料が地中に届かなくなり、芝生が弱る原因になってしまいます。
そのため、エアレーションによってサッチ層を切り裂き、通気性を回復させることで、分解を担う微生物の活動が活性化し、自然に薄くなっていきます。
4. 病害虫予防|土壌環境を健全に保ち、芝の抵抗力を高める
エアレーション後は、根が活発に伸び、芝生全体の体力が向上します。そして、健康な芝は乾燥・高温・病気・害虫に対して自己防衛力(抵抗力)が強くなるため、薬剤に頼らずに管理しやすくなります。
また、排水性や通気性が改善されることで、病原菌や害虫が好むジメジメした環境が減少し、被害そのものが起きにくくなります。
その他の効果
- 肥料が地中に浸透しやすくなり、効率的な栄養補給が可能に
- 芝の色つやや密度が改善され、見た目の美しさが格段に向上
- 長期的に見ると、芝生の維持管理コストも軽減される
まとめ:エアレーションは芝生を元気に育てる第一歩
いかがでしたか?
エアレーションは、芝生の土に空気や水、栄養が届きやすくなるように整える、とても大切なお手入れです。そのため、春や秋など、芝生が元気に育つ時期に行うことで、根がしっかりと張り、緑が美しく保たれるようになります。
また、手間がかかりそうに見えますが、初心者でも始めやすい作業です。そして、ちょっとした道具があれば、小さなお庭でも気軽にケアが可能です。
ぜひ、この機会に芝生をもっと元気にするための一歩として、エアレーションにチャレンジしてみてください。綺麗で健康な芝生が、あなたのお庭の景色をぐっと引き立ててくれますよ。
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