ガーデニング初心者の方にとって、庭木選びで迷うポイントのひとつが「落葉樹」と「常緑樹」の違いです。
常緑樹は目隠しや防風効果に優れていますが、四季の移ろいを庭に取り入れたいなら落葉樹がおすすめ。
なぜなら、春の芽吹き、夏の木陰、秋の紅葉、冬の枝ぶりと、一年を通じて異なる表情を見せてくれるのが魅力だからです。ただし、落ち葉の掃除や病害虫対策といった注意点もあります。
この記事では、落葉樹のメリットとデメリットを初心者向けにわかりやすく解説していきます。

さらに、剪定の基本や植え付け時期のコツまでご紹介します。庭木選びの参考にぜひご活用ください。
落葉樹とは?四季を映す庭木の魅力
落葉樹とは、冬に葉を落とし、春になると新しい葉を芽吹く庭木のことです。
そして、春にはやわらかな新緑が一斉に広がり、夏は茂った葉が心地よい木陰をつくります。また、秋には鮮やかな紅葉で彩りを添え、冬は葉を落として枝ぶりそのものが景観を引き立ててくれます。
つまり、落葉樹は庭に四季の移ろいをはっきりと映し出し、自然のリズムを暮らしの中で感じさせてくれる存在なのです。
そのため、シンボルツリーとして植えれば、季節ごとに違う表情を楽しめ、写真映えも抜群です。
常緑樹との違い
一方の常緑樹は、一年を通して葉をつけ続ける木です。そのため、冬でも庭が緑を保ち寂しい印象にならず、通年で安定した景観をつくることができます。
また、葉が密に茂るため「目隠し」「防風」「防音」といった実用性も高く、外構や隣家との仕切りとしても重宝されます。
庭づくりのポイント
庭をより心地よい空間にするには、落葉樹と常緑樹をバランスよく組み合わせるのが理想的です。
例えば、外からの視線を遮る場所には常緑樹を配置し、リビング前や玄関先には四季の変化が楽しめる落葉樹を植える。
また、こうすることで、実用性と季節感の両方を兼ね備えた庭になります。
👉 「一年中緑を保ちたい」「四季をしっかり感じたい」など、目的やライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
落葉樹を庭に植えるメリット
庭木選びに迷ったとき、落葉樹は「四季の移ろいを存分に味わえる」魅力的な選択肢です。春の新緑、夏の木陰、秋の紅葉、冬の枝ぶりと、季節ごとにまったく違う表情を見せてくれる落葉樹。
さらに、光や風のコントロール、土壌を豊かに育てる働きまで備えています。
ここでは、落葉樹を庭に迎えることで得られる具体的なメリットをわかりやすく解説していきます。
1. 四季折々の彩りを楽しめる
落葉樹の最大の魅力は、季節ごとにまったく異なる表情を見せてくれることです。
春
やわらかな新芽が一斉に芽吹き、庭全体が明るくフレッシュな雰囲気に。とくに、桜やハナミズキの花は観賞価値が高く、モミジやカエデの若葉は新緑の美しさを堪能できます。
夏
葉が生い茂り、涼しげな木陰をつくります。これにより、庭で過ごす時間が快適になるだけでなく、子どもが遊ぶスペースやペットの休憩場所としても活躍。
そのため、シンボルツリーとして存在感を放ちます。
秋
紅葉や黄葉に色づき、庭が一気に華やかでドラマチックな雰囲気に。とくに、モミジやイチョウの葉が風に舞う景色は、まるで絵画のような美しさです。
冬
葉を落とし、枝ぶりそのものがデザイン性を高めます。また、雪が積もると白と黒のコントラストが映え、冬ならではの静かな美を楽しめます。
このように、落葉樹は一年を通じて「季節の移ろいを身近に感じられる庭」をつくってくれる存在です。
2. 夏は日陰・冬は採光「自然の調光効果」
落葉樹は、実は天然のカーテンのような役割も果たします。
夏
青々とした葉が太陽の直射光をやわらげ、室内や庭を涼しく保ちます。とくに、南向きの窓辺に植えると、エアコンの使用頻度を減らせるほど効果的です。
冬
葉が落ちることで日差しを遮らず、部屋の奥まで光が届きます。これにより、自然のぬくもりが入り込み、暖房効率も上がります。
つまり、落葉樹は「夏は日よけ・冬は日だまり」という自然の調光をもたらし、省エネや快適な暮らしにつながるのです。
3. 土壌を豊かに育てる
落ち葉はただのゴミではなく、庭を育てる栄養の源です。
- 落ち葉が分解されると腐葉土となり、土の保水性・通気性・保肥力がアップ
- ミミズや微生物が活発に活動し、土壌の栄養循環がスムーズに…
- 結果として果樹や草花の生育も良くなり、庭全体が元気に育つ
また、人工的に肥料を加えるのとは違い、自然のサイクルの中で土が育っていくのが落葉樹ならではの魅力です。そして、庭が年々豊かになっていく過程を見るのも、大きな楽しみのひとつです。
このように、落葉樹は、景観の美しさだけでなく、光や温度のコントロール、土壌改良といった実用的なメリットも兼ね備えています。
「四季の変化を楽しみながら、庭とともに暮らしを育てていきたい」…
そんな人にとって、落葉樹は理想的な庭木と言えるでしょう。
落葉樹を庭に植えるデメリットと対策
落葉樹は四季の彩りを楽しめる一方で、「落ち葉掃除が大変」「冬は寂しい景観になる」「病害虫がつきやすい」といった悩みもあります。
ですが、これらは少しの工夫や植え方の工夫で解決できるものばかり。
ここでは、落葉樹を育てる上で気をつけたいポイントと、その具体的な対策をわかりやすくご紹介していきます。
1. 落ち葉掃除の手間
秋になると、一気に葉が舞い落ちて庭一面に広がります。
そのため、景色としては風情がありますが、放置すると雨どいが詰まったり、玄関アプローチが滑りやすくなったりする原因になることもあります。
とくに、風の強い地域では、ご近所に落ち葉が飛んでしまい、ちょっとしたトラブルにつながることも。
対策
- ブロワーや熊手を使えば短時間で集められ、作業効率が大幅アップ。
- 集めた落ち葉はそのまま捨てずに、コンポストに入れて堆肥化すれば、翌年の草花や野菜づくりに活用できます。
- そもそも落葉量の少ないハナミズキやカツラなどを選ぶことで、掃除の負担を軽減できます。
また、ガーデニング用品なら、「アイリスプラザ」で揃えることができます。詳しくは、公式サイトをご確認ください。
2. 冬の景観が寂しくなる
落葉樹は冬になると葉を落とすため、枝だけの姿になり「庭が少し寒々しい」と感じることがあります。とくに、リビングや窓から見える位置に落葉樹だけを植えると、景観に物足りなさを感じやすいでしょう。
対策
- 常緑樹と組み合わせて植えることで、冬でも緑を絶やさない庭に。
- 枝ぶりそのものを活かし、スポットライトやイルミネーションでライトアップすると幻想的な雰囲気に変わります。
- 足元に冬咲きの花(クリスマスローズやパンジーなど)を植えると、季節感を保ちながら彩りをプラスできます。
3. 病害虫のリスク
落葉樹は新芽や葉が柔らかいため、アブラムシやカイガラムシ、うどんこ病などが発生しやすい傾向があります。とくに、春から夏にかけては害虫が活発化するため、放置すると他の植物にも被害が広がる可能性があります。
対策
- 定期的に剪定して風通しを確保すれば、病害虫の発生を予防できます。
- 耐病性のある樹種(例:ソヨゴ、イロハモミジ)を選べば、被害を最小限に。
- 落ち葉を溜め込まないようこまめに清掃し、虫の越冬場所を作らないようにしましょう。
このように、落葉樹には確かに「落ち葉掃除」「冬の寂しさ」「病害虫」といったデメリットがあります。しかし、工夫次第でそれらを魅力や楽しみに変えることができます。
そして、掃除は堆肥づくりに、冬の枝ぶりはライトアップに、病害虫対策は庭の健康管理に…
デメリットも「庭と向き合うきっかけ」として前向きにとらえれば、落葉樹はより豊かな庭づくりのパートナーになります。
剪定の基本と時期
庭木を健康に保ち、美しい姿を長く楽しむためには、剪定(せんてい)が欠かせません。
とくに、落葉樹は枝の整理や風通しの確保をしてあげることで、病害虫の予防や新芽の成長がスムーズになります。では、いつどのように剪定すればいいのでしょうか?
ここでは、初心者でも失敗しにくい「基本の考え方」と「おすすめの時期」を分かりやすくご紹介していきます。
冬の休眠期がベストタイミング
落葉樹の剪定は、樹木が休眠している冬(11〜2月)が最適です。
なぜなら…
樹木への負担が少ない
- 成長が止まっているため、切り口からの水分蒸散や栄養の流出が少なく、木にかかるダメージを最小限にできます。
新芽の成長がスムーズ
- 冬に整理した分、春になると勢いよく新芽が伸び、バランスの取れた樹形に育ちます。
病害虫のリスクが低い
- 寒さで害虫や菌の活動が弱まっているため、切り口からの感染リスクを抑えられます。
枝ぶりが見やすい
- 葉が落ちているため、不要な枝や混み合った部分を判断しやすく、思い通りの形に整えやすいのも冬ならではのメリットです。
剪定のポイントとコツ
冬剪定で押さえておきたい基本は、「不要枝を整理して風通しをよくすること」です。
- 枯れ枝・・・
放置すると病気の温床になるため、根元から切除。 - 交差枝(枝同士がぶつかるもの)・・・
成長の妨げになるので片方を処理。 - 内向枝(樹の内側に伸びる枝)・・・
込み合いを防ぐため外側に伸びる枝を残すのが理想。
また、太い枝を切るときは、必ず「三段切り」を実践しましょう。
- 枝の下側に軽く切れ目を入れる
- 枝の外側から切り落とす
- 残った切り株を根元から仕上げ切り
こうすることで、枝の重みで幹が裂けるのを防げます。
また、切り口には癒合剤(トップジンMペーストなど)を塗っておくと、雑菌の侵入や乾燥を防ぎ、治りが早くなります。
剪定道具の扱いも大事
せっかく剪定をしても、道具に病原菌がついていては逆効果です。
- ハサミやノコギリは使用前後にアルコール消毒をする
- 切れ味の悪い刃は枝を潰してしまい傷口が広がるため、定期的に研ぐ
そして、道具のメンテナンスも剪定成功の大切なポイントです。
このように、落葉樹の剪定は冬がベスト。基本を押さえれば、初心者でも美しい樹形を維持し、病害虫にも強い庭木を育てられます。
「枯れ枝・交差枝・内向枝を整理」「太枝は三段切り」「切り口ケア」「道具の消毒」…
この4つを守れば安心です。
また、剪定はプロに任せるという方法もあります。そして、プロに任せるなら「剪定110番」がおすすめです。詳しくは、公式サイトをご確認ください。
植え付けのベストシーズンとコツ
庭木や花木を長く元気に育てるためには、「いつ植えるか」と「どのように植えるか」がとても重要です。とくに、初心者がつまずきやすいのが植え付けのタイミングと土づくり。
これを押さえておくだけで、その後の成長や根付きが大きく変わります。
ここでは、失敗しにくい植え付けのベストシーズンと、初心者でも安心して実践できる基本のコツをご紹介していきます。
秋(10〜12月)が最適な理由
庭木を植えるなら、秋は一年で最も条件の整った季節です。
土がまだ温かい
- 夏の余熱が残り、根が活発に成長します。
- 冬を迎えるまでにしっかり根を張れるのが大きなメリット。
気候ストレスが少ない
- 真夏の猛暑や真冬の厳しい寒さを避けられるため、苗木がダメージを受けにくい時期です。
春の芽吹きに備えられる
- 秋に植えることで、春にはすでに根が安定しており、芽吹きや花付きがスムーズに進みます。
とくに、落葉樹は休眠期に入るため、植え替えや移植の負担も小さく、初心者でも成功しやすい時期と言えるでしょう。
植え方のポイントと実践コツ
植える場所
- 日当たりと風通しが良い場所を選びましょう。
- ただし、成長後のサイズを考え、家や隣家の建物から十分な距離を取ることが大切です。
- 大きくなる樹種ほど「将来の姿」をイメージして配置すると失敗を防げます。
植え穴
- 根鉢(ポットの土部分)の2倍の幅を掘り、深さは根鉢と同じにします。
- 深植えは根腐れの原因になるため厳禁。
- 広めの穴を用意することで、根が四方に伸びやすくなります。
土壌改良
- 掘り上げた土に腐葉土や堆肥を2〜3割ほど混ぜると、保水性と通気性がアップ。
- 重い粘土質の土なら、川砂やパーライトを加えて排水性を高めましょう。
- ふかふかのベッドを用意する感覚です。
水やり
- 植え付け直後は根鉢の土が沈むくらいしっかり水やりをします。
- その後も乾燥しやすい時期はこまめに確認し、特に最初の1〜2か月は水切れに注意。
支柱
- 根が安定するまでの数年間は、1〜2本の支柱を添えて固定します。
- 風で揺れると細根が切れやすく、活着(根付くこと)が遅れてしまいます。
このように、植え付けは「秋がベストシーズン」。
そして、適切な植え穴、土壌改良、水やり、支柱の設置という基本を押さえれば、初心者でも安心して庭木を育てられます。
そして、秋にしっかり準備しておくことで、春には青々とした新芽が楽しめ、庭づくりが一段と充実します。
まとめ: 落葉樹で四季を楽しむ庭をつくろう
いかがでしたか?
落葉樹は、四季の彩り・夏の木陰・冬の採光・土壌改良といった多くのメリットを持つ庭木です。
一方で、落ち葉掃除や冬の景観、病害虫リスクといったデメリットもありますが、工夫次第で十分にカバー可能です。そのため、庭に落葉樹を取り入れることで、暮らしの中で季節の変化を楽しむことができます。
ぜひ、この記事を参考に、あなたの庭にぴったりの一本を見つけてみてください。
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